憲法9条って?
日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こないようにと決意しました。そこで、戦争はしない。そして、軍隊も持たない。そう規定したのが、9条です。
日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こないようにと決意しました。そこで、戦争はしない。そして、軍隊も持たない。そう規定したのが、9条です。
日本がこれまで海外で戦争をしなかったのは、「戦争はしない」「軍隊をもたない」という9条が歯止めになっていたからです。9条の改定は、その歯止めをなくし、日本が海外で戦争する道にふみだすことです。
“自衛隊のことを書きこむだけ”ではすみません。
イラク戦争のような戦争にアメリカといっしょになって参戦する──
もし、日本が集団的自衛権を行使できるとしたら。集団的自衛権は、自国が攻撃を受けていなくても、同盟国が攻撃を受ければ、武力行使できるとするもの。しかし、実態は、米国のベトナム戦争や旧ソ連のアフガニスタン侵攻など、侵略戦争の口実にされてきたものです。先制攻撃戦略を公然と掲げる米国に武力行使をもって支援をすることは、集団的「自衛」どころか、集団的「侵略」を意味します。
そもそも、現在の憲法の下、周辺事態法でもテロ特措法でもイラク特措法でも、自衛隊は海外で活動しています。もし、9条がなくなれば、それ以上のこと、つまり、武力行使を容認することになるでしょう。
そもそも、軍事力の均衡によってバランスを取るという考え方は、20世紀の遺物です。
軍事同盟をやめて平和の共同体づくりへ──
ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラなど南米諸国は2004年12月9日、南アメリカ大陸の12カ国すべての代表が集まって「南米サミット」を開き、互いの政治経済を統合していき、EUのような統合体「南米共同体」を作ると宣言しています。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアの10カ国からなり、2015年に「政治・安全保障」「社会・文化」での連携を深めるASEAN共同体の設立を目指しています。
これが世界の流れです。紛争を戦争に発展させるのではなく、いかに平和的、外交的な手段で解決するかが安全保障の最優先課題なのです。いま、日本に足りないのは、平和外交の戦略です。
それに、「備えがあるから憂いがある」のです。現在、常備軍を持たない国は、世界にもたくさんありますが、戦後、そのような国が戦争に巻き込まれたことはありません。丸腰だからこそ、相手から信頼されるというものです。
日本が自衛権を保有していることは、主権国家として当然です。日本が侵略を受ければ、自衛隊を含むあらゆる手段で反撃することも、これまた当然です。しかし、改憲論者のねらいは別のところにあります。集団的自衛権を行使できるようにすることです。
国連憲章は、その成立の経過から、自国を防衛するための個別的自衛権と、自衛とは無縁な集団的自衛権を、同列にあつかっています。改憲論者は、自衛権には個別的なものと集団的なものと両方あるのだから、憲法に自衛権を明記するだけで集団的自衛権を行使できるようになると主張しています。
別の言い方をすると、憲法に自衛権が明記されておらず、戦力を保持しないと書かれていたことが、集団的自衛権の行使に踏み切れなかった最大の要因です。
「敗戦によって、憲法や教育基本法がアメリカから押しつけられた」と主張するのは、実際の歴史を見るとまったく違います。
ポツダム宣言は、「平和的傾向を有する責任ある政府の樹立」、「民主主義的傾向の復活強化」、「基本的人権の尊重の確立」を要求していました。これが、憲法の主要な柱となります。政府は松本委員会で改憲について検討しますが、民間においてもいくつかの憲法改正草案が発表されます。松本委員会の草案は、保守的なものに過ぎなかったため、GHQ草案が出されますが、これは民間の憲法改正草案からも意見が取り入れられたものでした。その後、日本政府はGHQ草案に沿う憲法改正の方針を決め、「憲法改正草案」を作成し、帝国議会でいわゆる「芦田修正」などを含む修正をされて、可決されたものです。GHQが押しつけたとするとしても、政府関係者には押しつけたのかもしれませんが、国民からは「もうこんな戦争はこりごりだ」と歓迎されたのです。
また、憲法と一体で作成された教育基本法は、田中耕太郎文相を中心に、教育刷新委員会の委員たちによって自発的に発意され、立案、制定したことは、それに関わった人たちの回想に共通しており、押しつけ論はまったくのでたらめです。残念ながら、1947年に制定された教育基本法は改定されてしまいましたが、その精神は憲法に由来するものであり、教育の根本的な考え方は、変更されていません。
さらに、終戦の数年後、アメリカは日本を「反共の砦」とし、再軍備の道をたどらせることを探り始めました。近年でも、「9条が日米同盟の邪魔者」とする発言がなされています。いわば、9条改定じたいが、アメリカからの押しつけです。